2014年2月5日。
今年の春闘が本格的に始まりました。
「春闘」「ベア」「定昇」。。毎年耳にするけれど、イマイチ意味がわからない…そんな方のためにお届けします。
「今更聞けない」という方も、コッソリ覗いていってください^^
目次
春闘とは?
春の闘いと書いて春闘。
初めてこの言葉を見聞きしたら、
一体なんの闘い?と思ってしまう
かもしれませんね。
Wikipediaによると、春闘とは、
日本において毎年春(2月)頃から行われる
賃金の引き上げや労働時間の短縮などといった
労働条件の改善を要求する運動である
とされています。
「春季闘争」
「春季生闘争」
「春季労使交渉」
などと言われ、これらを総略して
春闘と表現されます。
春闘の流れ
春闘は1955年(昭和30年)に初めて
行われました。
新年度が始まる前のこの時期(2月)に
スタートし、大まかな流れとしては、
●自動車・電気機器・鉄鋼などの大手製造業が交渉開始
⇓
●鉄道・電力会社などの非製造業が交渉
⇓
●その他大手企業が春闘を終了
⇓
●大手企業の基準に基づき中小企業が交渉
⇓
●春闘終了(3月中)
となります。
春闘で交渉されることがら
「春闘とは?」でもさらりと述べましたが、
改めて春闘で交渉される内容を挙げると、
●ベア
●定昇
●労働時間の短縮
がメインになります。
労働時間の短縮は文字通りとして、
ベア?定昇??
更に詳しく見ていきましょう。
「ベア」「定昇」の意味と違い
ベア
「…ベアって何なのよ?熊しか思いうかばんゎ(・谷・)」
初めてベアという言葉を耳にした時の
私の感想がこれでした。
ベア=ベースアップ
「…そのくらい略すなょ…(・谷・)」
ベアの意味を知った時の私の感想です^^;
ベアとはベースアップのこと。
何のベースアップかというと、お給料のベースアップ、
つまり、基本給の水準の底上げということになります。
定昇
「定期昇給」の略語です。
(また略すか!!(@谷@)ゆるりん☆心の声)
入社1年目より2年目、2年目より3年目…
と、会社に勤める年数が長くなるにつれて
給料が上がっていくことを定期昇給といいます。
ベアと定昇の違い
ベアは基本給部分に対しての昇給額で、
生産性向上や消費者物価上昇率に対応し、
定昇は年齢・勤続年数・職務価値などに
対応します。
それぞれの違いをまとめると、
【ベア】=全般的賃金額の上昇
・労働者全員の昇給額
→個人の能力は反映されない
【定昇】=個人別賃金の制度的上昇
・年齢、勤続年数による
→年功序列
・職務遂行能力などによる
→成績や能力を査定により評価
→昇給額に個人差がある
雇う側としては、ベアをすれば業績に
関わらず人件費は増えますし、一度
上げた基本給はそう簡単に下げられ
ないのでベアに対しては慎重になります。
業績に合わせて毎年の調整がしやすい
ボーナスで給与の総額を調整する企業が
多いのはこのためです。
しかし、労働者の立場からすれば、額に
変動があったり、出ない事もあるボーナス
よりは、基本給そのものが上がる方が
収入が安定すると言えます。
交渉は誰がする?
当然のことですが、春闘の交渉は、
雇う側と雇われる側で行われます。
労使それぞれの組織について見ていきましょう。
雇われる側の交渉団体「労働組合」
雇われる側として交渉を行うのが、
労働組合です。
労働組合は、春闘などで企業と交渉
を行うための労働者による団体で、
「労組(ろうそ)」「ユニオン」とも呼ばれます。
労働組合員は、その企業で働く
社員の中から選ばれます。
漫画、サラリーマン金太郎でも、
金太郎が労働組合の長に選ばれた
ことがありましたね。
自治体職員の労働組合「自治労」
一般企業だけでなく、公務員などにも
労働組合があります。
「全日本自治体労働組合」の略称で
「自治労」といいます。
都道府県職員や、市町村職員(=地方公務員)
など、自治体と自治体関連の施設で働く
人のための労働組合です。
労働組合が結集する日本最大のナショナルセンター「連合」
「日本労働者組合連合会」の略称を
「連合」といいます。
民間と官公庁の主な労働組合が結集する、
いわば労働組合のトップです。
春闘の流れを作る「経団連」
交渉は労使間で行われますが、いきなり
各企業が単体で行うのではなく、まずは
労使それぞれのトップで全体の方向性を
さだめ、流れや方針を作っていきます。
この、使用者側として交渉を受ける団体の
中心になるのが「日本経済団体連合会」、
略して「経団連」です。
経団連は、日本の大企業や団体などから
成り、日本商工会議所、経済同友会と並ぶ
日本の「経済三団体」です。
先日(2014.2.5)の「春闘スタート」のニュースは、
労働者代表の「連合」と使用者(企業)代表の「経団連」
との会談により、春闘が始まったというものでした。
2014年の春闘では、連合側からのベアの要求を、
経団連側が容認したことが大きな話題となりました。
というのも、例年では連合側のベア要求に対し、
経団連は厳しい経済環境を理由に反論するのが
毎年のパターンだったためです。
ベア容認は2008年以来実に6年ぶりの出来事です。
主な理由としては、
・円高・株高により企業の業績が回復傾向にある
・政府から賃上げ要請が出ている
ためと言われております。
とはいえ、ニュース動画にもあるように、
経団連はベアを容認したものの、
「判断は個々の企業に委ねる」
としています。
連合と経団連との会談内容は、「方針」
にすぎないため、それをもとに、各企業が
自社のベアや定昇について交渉・検討します。
つまり、経団連がベアの容認をしたからといって
全ての企業がそれに従わなければならない
わけではないのです。
日本の企業は、その99%が中小・零細企業
で、雇用者の約70%がここに属すると言われて
います。
何年勤めても基本給が変わらない、定昇もない、
ボーナスも出ない会社がたくさんあります。
「6年ぶりの前向きな方針」と報じられては
いるものの、経団連もくくりとしては大企業側…
どこか「ひとごと感」が否めなかったり、今後の
見通しが明るくならないのは私だけでしょうか。。
消費税やその他の増税、とどまることをしらない
非正規雇用の増加…日々の生活への不安は
高まる一方です。
ごく限られた一部の人だけでなく、国民全般が
広く雇用・労働条件改善の恩恵を受けられる
日が近く訪れることを大いに期待します。