2013年は彗星の当たり年と言われています。
既に3月に見られたパンスターズ彗星、現在観察されているアイソン彗星、ラブジョイ彗星や、3年周期で太陽を公転しているエンケ彗星です。
今回は注目のアイソン彗星と、肉眼で見られる期間などをご紹介します。(11/29最新情報を追記しました)
前者のパンスターズ彗星は、当初の
予測ではとても大きなものになるの
では?と期待されていましたが、
実際にはそうもいかず、イマイチの
結果になってしまいました。
こちらはオーストラリアで撮影されたものです。
手間ははパークス天文台の電波望遠鏡です。
もうひとつのアイソン彗星は、その軌道が
太陽にとても近づくため、大きい彗星になる
可能性が高いと予測されています。
目次
彗星とは?
そもそも彗星とは何なのでしょうか。
彗星とは、太陽系の天体のひとつです。
もともとは太陽系の外縁部で生まれ、
何かのきっかけで太陽系の内側に
入り込んできたものです。
地球と同じく太陽を周回しますが、
周期が大きいものが多く、アイソン彗星
のように再び戻っては来ないものも
あります。
彗星は本体は数km~十数kmほどで、
8割が氷で、二酸化炭素、一酸化炭素、
その他のガスや塵(ちり)から成っています。
身近なものでは「汚れた雪玉」に例え
られます。
太陽系に入り込んだ核と呼ばれる彗星の
本体が、太陽に近付くことでその熱で
表面が溶けて蒸発し、本体が光って見えます。
これを「コマ」と呼びます。
そして本体から放出されたガスと塵により、
彗星のシンボルとも言われる尾ができます。
この尾はガスにより作られた「イオンの尾」と、
塵により作られた「ダストの尾」の2種類
あります。
この尾はほとんど伸びなかったり、
数億kmも伸びたりします。
塵の尾の中の粒が大きいものが、
流星群の元になります。
彗星が去った後に流星群が見られる
ことが多いのはこのためです。
彗星と流星(流れ星)は一見似ている
ように思えますが、彗星は天体で、
流星は塵のため、この二つは全く別の
ものということになります。
アイソン彗星とは?
アイソン彗星は2012年9月21日に発見
された彗星です。
アイソン(ISON)とは、この彗星の発見者が
所属していた国際化学光学ネットワーク
(International Scientific Optical Network)
の頭文字です。
どこから来た彗星なのかは特定されて
いませんが、アイソン彗星の軌道が細長い
楕円形であることなどから、数百~数万年
という長い年月をかけて太陽を目指し、地球
から観察できる位置までやって来たと言われ
ています。
そして太陽に最も接近した後は、二度と戻って
来ないと推測されておりますので、アイソン彗星
観測は最初で最後のチャンスとなります。
見頃と方角、目印は?
彗星が最も明るく見えるのは、彗星の
本体である核が溶けてガスや塵を大量に
放出する時です。
核が溶ける時、つまり、太陽に最も接近
した時、彗星の明るさが最大になります。
日本時間ではその日が2013年11月29日
の明け方です。
この前後1ヶ月くらいが観測に適していると
されています。
時間的には明け方が見やすいようですが、
予測通りの大彗星になれば、夕方にも
肉眼で見られる可能性があります。
その場合は西南西のとても低い位置
になります。
天文学者の渡部氏は12月7日~15日頃、
JAXAでは12月19日が狙いどころとして
います。
(見頃は彗星の状況で変化します。
最新情報をご確認下さい)
期間別の見え方の予測や目印は、
●11月18日前後:おとめ座のスピカが目印
●11月20日~:水星、土星が目印
●11月29日:太陽に最も近くなる(近日点通過)
⇒彗星の明るさは最大でも太陽に近すぎて
見えず…。人工衛星の太陽周辺画像に写る
ことも考えられますので、インターネットでの
情報も要チェックです。
●12月初旬:夜明け前の東の空の低い位置に
明るく長い尾で見える
●12月中旬:夜明け前の東の空で徐々に高度
をあげてゆく
●12月26日:地球に最も近付く(近地点を通過)
⇒見頃のピークを過ぎてしまっている可能性大
●12月末~1月末:一晩中北の空に見え続け
ますが、肉眼での観察は難しくなります
●2014年1月14日:流星群が見られる可能性あり
※11月25日~12月2日頃までは、アイソン彗星
が太陽の近くに見えるため、双眼鏡などを使って
観察する際には、誤って太陽を見てしまわない
ようにくれぐれもご注意下さい。
こちらで主要都市の星空の様子を調べられます。
(今日のほしぞらの所です)
観察にお役立て下さい。
無事に太陽を通過できるのかが運命の分かれ道
北半球の中緯度に位置する日本は、観察する
のに条件の良い場所と言われています。
明るさや尾の状態など、彗星の見え方が「予測」
となっているのは、彗星が太陽に近付いた時、
●どの程度ガスや水蒸気を放出するのか
●太陽に近付いて直径4kmのアイソン彗星の核が
無事なのか
など、「その時」になってみないと判らないことが
多いためです。
アイソン彗星の軌道は、直径が140万kmもある
太陽の表面からわずか120万kmの所(太陽の
中心から190万kmの位置)をかすめるような形で
すりぬけてゆくため、
●核全てが蒸発して彗星が消滅
●壊れて太陽に落下
という可能性も否めません。
順調に太陽の近くを通過できれば、
コマは満月の明るさに匹敵し、
尾の長さは約1億5千万km(地球と太陽と
の距離と同じ)にも達する可能性も
あります。
現在は予測よりも明るくなるペースが
上がっていないそうですが、彗星の
見え方は良くも悪くも一日で急変する
ことがあるので、最新情報から目が
離せない状況です。
科学館などではアイソン彗星観測イベント
を開催するところもありますので、ご興味
のある方はチェックされるとよろしいかも
しれません。
調べるほどに、実際にアイソン彗星を見たく
なりました。
この時期の早起きはなかなか厳しいものが
ありますが、大変貴重な機会なので、
ちょっと頑張って観測にでかけてみようかな…
と思います^^
どうか無事に過酷な太陽の近くを通過できますように☆ミ
頑張れ!アイソン彗星!!
【2013年11月29日追記】
本日アイソン彗星は近日点を通過し、
今後の明暗を分ける「変化」が注目
されています。
12月2日くらいまでは、太陽に近いため、
観察は困難で危険です。
彗星の様子など最新情報はこちらの
アイソン彗星特設サイト(AstoArts)
で確認できます。
肉眼で観察できない期間は、
太陽観測衛星SOHOカメラからの
映像で彗星の様子を見られます。
(繋がりにくい場合があります)
ラブジョイ彗星は見頃
2013年9月7日に発見され、
12月23日に近日点を通過する予定の
ラブジョイ彗星も見頃を迎えています。
アイソン彗星・ラブジョイ彗星についてのニュース動画(ANNnewsCH)
数日前までは近日点通過前の
アイソン彗星よりも明るく見えていました。
ラブジョイ彗星は明け方の北東~北北東の
空に見られます。
詳しい見え方などはこちら(AstroArts)で
紹介されています。
エンケ彗星は見頃終了・次は3年後
10月初頭から見え始め、10月下旬から
明るさを増し、未明の東の空に見えていた
エンケ彗星は、11月22日に近日点を通過
しました。
その後は昼間の空にあるため観測できず、
夜の空に再び現れるのは2014年3月で、
その頃には観測できないくらいまで彗星が
暗くなると予測されています。
【今回のまとめ】
・最新情報をチェック
・アイソン彗星は12/2くらいまでは観察が困難
・それまでは衛星からの画像でその様子を確認
・ラブジョイ彗星も見頃
⇒北東~北北東の低い位置
・12/3~12/10見頃期間に突入。
⇒日の出時刻や天気をチェック
⇒日の出の2時間~40分くらい前が観測に適した時間帯
⇒彗星が無事ならば東の空の低い位置で彗星を観測できる(予測)
近日点通過後の彗星の状態で、明るさや
尾の長さなどが大きく変わります。
観測の際には最新情報をこまめにチェック
されることをおすすめします☆
【追記の追記】
大変残念なことに、アイソン彗星は消滅
してしまったとNASAが発表しました。
太陽接近時の様子など、詳しくは、
でお伝えしています。。