気温が徐々に下がり、木々も色づくこの季節、風流に紅葉狩りを楽しみたいですね。 ところでこの「紅葉狩り」何を狩るの?そもそもどうして紅葉するの? いまさら聞けない疑問を調べてみました。紅葉を見ながらさらりとうんちくを語るのもオツですよ^^
紅葉狩りってモミジを狩るの?
紅葉狩りという言葉からは、モミジを狩るイメージが
強いですが、実際に狩りをするわけではありません。
この「狩り」は、大昔は生きていくため、
すなわち食べるために行っていました。
紅葉狩りの語源や由来については、
時が経ち、狩猟の意味での「狩り」をしない
貴族が現れ、草花や自然をめでることを「狩り」と
表現したという説、また、その時に実際に草花を
手にとって眺めたことに由来するという説があります。
今はお花見と言われている春の桜を見ることも、
以前は一部では「桜狩り」と称されていました。
桜狩り 霞の下に今日くれぬ 一夜宿かせ 春お山もり
という藤原定家の和歌が残っていたり、
松尾芭蕉も桜狩という言葉を使っていることから、
短歌や俳句の季語であったことも伺えます。
桜狩の方がお花見よりも風流で雅な感じがしますね。
「ぶどう狩り」「いちご狩り」「きのこ狩り」など、
食べるために採ることを「狩り」と表現することが
ありますが、紅葉狩りは「鑑賞」ですから、枝や葉を
折ったりとったりしてはいけませんよ。
鬼女を狩ることに由来
突然鬼?と思われた方もいらっしゃるかと思います。
長野県長野市にある戸隠山に残る、
人の心を惑わす鬼女「紅葉」退治の伝説に由来します。
「紅葉狩」という演目で能や歌舞伎でも演じられています。
紅葉のメカニズム
紅葉の仕組みを調べてみたところ
●気温が低下すると、葉を落とすために葉の枝付根部分にコルク層が形成される
↓
●葉と枝の間で糖などの養分の流れが妨げられ、葉を緑に見せる葉緑素の「クロロフィル」が老化、分解される
↓
●光合成により作られた糖分が葉に蓄積され、「アントシアン」という赤い色素や、「カロチノイド」などの黄色の色素が目立つようになる
↓
●色素が絶妙なバランスで混ざり合い、紅色、黄色など美しい紅葉があらわれる
↓
●葉はコルク層で切り離され、「落ち葉」となる
このような流れで葉の色が変わることがわかりました。
あの小さな葉の中で、こんなことが起こっていたのですね。
葉が紅葉する条件は?
それでは、紅葉が始まる具体的な条件とは
どのようなものなのでしょうか。
葉の色を赤く見せるアントシアニンが作られるには、
空気中の温度や光の条件が関係してきます。
紅葉に必要な条件としては、
●夜間の急激な冷え込み
●空気が乾燥し地中の水分が減少する
●直射日光の強さ
などがあげられます。
具体的には、
●1日の最低気温が8度以下になる
(5~6度だと更に加速する)
●日中の気温が20~25度くらい
●夜間の気温が5~10度くらい
●昼夜の気温差が大きい
(気温差が15度あると紅葉が一気に進む)
これらの条件が揃う事で、コルク層が作られ、
クロロフィルも分解され、更に色素のもとになる
養分が蓄積されます。
山の紅葉が美しいのは、このような条件が
そろっているからだと言われています。
逆に、木々が光合成をしっかり行えなかったり、
大気汚染がひどかったり、温暖化で気温の条件が
みたされないと、鮮やかな紅葉が見られなくなって
しまう可能性があります。
この美しい自然の力、それをめでる日本の心を
次の世代にしっかりと残してゆくのも
私たちの大きな課題ではないでしょうか。
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