2013年11月26日の衆議院特別委員会で、秘密保護法が自民・公明・みんなの党などの賛成多数で可決されました。
この法案に反対の野党4党(民主・共産・社民・生活の党)は、採決を強行したと批判していますが、12月6日までの今国会で成立する見通しが強まりました。
話題の秘密保護法とはそもそも何なのか、問題点やメリット、私たち国民への影響などについて調べてみました。
目次
秘密保護法とは?
正式名称は、
『特定秘密の保護に関する法律案』で、
大まかに言えば、
国家の秘密を漏らしたり、秘密を不正に
入手しようとした人に厳罰を与える
という内容です。
その趣旨は、罰則を定めることで、
情報漏えいの防止をはかり、国や
国民の安全の確保に資すること
とされています。
行政機関は日本の安全に支障を
与える恐れがある情報を「特定秘密」
に指定でき、それらは
1:防衛
2:外交
3:特定有害活動の防止(スパイなど)
4:テロ活動の防止
の4分野です。
これらの情報を漏洩した公務員や、
情報所持者を脅迫したり欺いたりと
不正な手段で特定秘密を手に入れた
第3者などには、懲役10年以下の
処罰が下されます。
現行では国家公務員が懲役1年以下、
自衛隊法では懲役5年以下と、情報を
漏らした側にのみ、罪が課せられ、これ
に比べると、厳しい処罰と言えます。
情報を漏らした側だけでなく、入手した
側も罪とし、処罰をより重くすることで、
国家の秘密を守ろうというわけです。
全文が難しいので弁護士さんが意訳してくれてたもの
(結構面白いです)
秘密保護強化の必要性
なぜ秘密保護を強化するのか?
安倍政権は昨今の日本周辺の
安全保障環境の悪化に対応するため、
国家安全保障会議(日本版NSC)創設
のための法案を、衆議院で審議しています。
(2013年11月27日可決されました。)
これは、アメリカ、イギリスなど外国政府の
情報機関と機密情報を交換・共有する
ためと言われています。
そのためには、秘密保持の基盤や仕組を
整える必要があるというわけです。
事実、自衛隊の情報漏えい事件などが
相次ぐなど、アメリカから秘密保護に
ついての法整備の必要性を指摘されて
います。
これまでにも、1985年に通称スパイ防止法
が審議未了で廃案となったり、2011年には
秘密保全法が検討されるも、国会提出は
見送られ、今日に至りました。
この法案の真意は、日米の安全保障、
防衛協力の強化であるという意見もあります。
問題点や危険性は?
特定秘密保護制度は国民主権と
民主主義を否定し、憲法に違反する
と主張する日本弁護士連合会や
報道関係者など、反対派の見解を
まとめました。
特定秘密の範囲が曖昧で広い
分野としては4つと一見少ないようにも
思えますが、その気になれば何でも
この4つの分野に当てはめることができる
可能性が高いと懸念されています。
また、秘密の有効期限は5年が上限
とされているものの、行政機関の長
(大臣など)の判断で更新できます。
つまり、行政機関が国民に知られたくない
事を「特定秘密」に指定し、堂々と隠して、
やり方によっては闇に葬ってしまえる
可能性があるという事です。
もっと悪い言い方をすれば、この法律を
悪用することも不可能ではありません。
国民の知る権利が侵害される
例えば、原発の問題における様々な
情報を、外交に影響を及ぼすとして
特定秘密にしてしまったら、私たちは
現状を把握できなくなってしまいます。
また、公務員などの特定秘密情報扱者が
情報を漏らしてしまうことを恐れて、
メディアの取材に応じてくれなくなる
可能性もあり、
結果として国民への情報提供に大きな
影響を及ぼす事になります。
報道の自由の侵害
情報漏えいだけでなく、知ろうとする行為も
処罰の対象となるため、記者やフリーライター、
研究者などの自由な取材(情報収集)を妨げる
恐れがあります。
「特定秘密」に指定されてしまえば、正当な
内部告発もままならなくなります。
プライバシーの侵害
秘密保護法に規定された「適正評価制度」
により、特定秘密を取り扱う人の個人情報が
調査・管理されます。
その内容はローン返済状況、渡航暦、
飲酒時の節度など実に多岐にわたります。
適正評価の対象になるのは国家公務員だけ
でなく、政府と契約している民間業者や大学で
働く人々、本人だけでなく家族や関わりの深い
人ににも調査が及びます。
私生活が監視される可能性も否めません。
エッ!これがヒミツ?あれもヒミツ!あなたも「秘密保全法」にねらわれる
↑↑日弁連から出ている資料で、秘密保全法と
懸念されることがらについてわかりやすく
紹介されています。
国会・国会議員とのかねあい
国会議員にも特定秘密情報を知る条件が
制限されます。
国会が行政をコントロールする議院内閣制の
仕組みや憲法第41条にうたわれる国会の
最高機関性が否定され、国会が行政機関の
暴走を止められない危険性があります。
自衛隊の武力行使に対しても、国会での
防衛出動の承認が必要ですが、特定秘密に
指定されれば情報が提供されず、その機能が
果たせなくなることも懸念されます。
特定秘密の取扱者とは?
主に公務員、警察職員、契約業者などですが、
適正評価により特定秘密を漏らす恐れがない
と認められた場合に限定されます。
先ほどのプライバシーの所でも少し触れましたが、
適正評価の対象事項は、
・テロ活動等の関係
・犯罪・懲役の経歴
・情報取扱いについての非違歴
・薬物の濫用・影響
・精神疾患
・飲酒の節度
・経済状況
です。
具体的にどのような場合に特定秘密を
提供できるのかについても規定を設ける
とのことです。
賛成派の意見と秘密保護法案のメリット
この法案のメリットとしては、
・アメリカなどから高度な機密情報を
入手できるようになり、結果として
私たちの生活がより安全になる。
・国家としての大切な機密を守る
ことができる。(今よりはましになる)
2つ目は苦し紛れに書きましたが…
1つ目は「うまくいけば」の思惑で、
確証ではありません。
日本がスパイ天国、情報漏えい大国と
言われてしまっているのは事実です。
情報を与える側としても、相手側の
情報保護に対する基盤がしっかり
していなければ、共有は難しいですし、
与える情報の内容や質も変わって
くると思います。
そういった意味では、保護法案の成立
により、有効な情報を入手できることは
ひとつのメリットになるでしょう。
賛成派の意見(ゼヒゼヒインターネット国民投票より引用)
・「日本はスパイ天国。 スパイ防止のために必要。ただし、それは日本国のためであるべきだから、まだ修正は必要だ。 頭から反対し、廃案だけを言い募るのは愚の骨頂。」
・「防衛・外交上、何らかの秘密保護法が必要であることは間違いないので、こういった法律を作ることには賛成です。ただ、現行の法案には問題も多いので、きちんと議論をして、適切な内容に訂正してほしいです。」
・「国家機密はあって当然。国民が全てを知ったら諸外国も全てを知ることとなる。我々は諸外国の全てを知っているだろうか?2009~2012年に情報が諸外国にダダ漏れした過ちを二度と繰り返さない為の決め事。」
・「今回は敢えて賛成。今回の法案は、様々な意味で国防に関して考えるキッカケを作ったと思う。現状脅威がある以上野放しにすることはできない。今後日本が諜報機関などの整備を行えれば意味はあると思う。」
条件付でなら賛成できるという
意見が多い印象を受けました。
国民の意見は?
9月13日~17日に募集された
パブリックコメント(意見公募)では、
約9万件のコメントが寄せられ、その
8割が反対意見でした。
その内容は
「重要な情報を知れなくなる(原発やTPPなど)」
「取材行為を萎縮させる」
など、知る権利や報道の自由についての
懸念の声が多かったとのことです。
ネット上の意見を集め、要約したところ、
「秘密が将来公開される保証がない」
「法案成立によりアメリカから有益な情報が
流れ込んでくる保証はない」
「アメリカの真似をするならば外部機関の設置や
秘密破棄の禁止など全て模倣すべき」
「秘密の基準は多くの人々が納得できるものであるべき」
「行政が行政をチェックするという骨格が疑問」
「機密指定の妥当性について第三者が検討する
制度が含まれていない」
「本来国民に伝えるべき情報までも機密にされてしまう」
「どの党が政権を握ったとしても、国家は法で拘束しない限り、
権力を濫用する傾向がある」
「国家を拘束するために必要な制度に欠けている」
「アメリカが絡んでいることが不安」
「自衛隊をアメリカのいいように使われるのでは」
「戦争に加担することに繋がるのでは」
などなど、不安や懸念の声が目立ちました。
先ほど賛成派の意見を掲載しましたので、
同サイトでの反対派の意見も掲載いたします。
・「公務員法を改正すればよいだけ。国民の権利を侵害する憲法違反の悪法ではないでしょうか。そもそも憲法違反「状態」の議員たちが決めていいことじゃない。国会改革の方が先でしょ!」
・「スパイ防止なら賛成するよ。でも秘密が安全保障に限られていない以上絶対反対だな」
・「この法案は、日本国内の秘密を国外に漏らさないためではなく、現日本政府(自民党)の都合の悪い事実を、日本国民に知られないように蓋をするためのものとしか思えない。こんな法案には反対です」
・「こういった法律は必要だとは思うが今回の法案は発想の方向性が間違っている。政府のすべての活動は必ず記録され必ず公開されるという方向でなければならない。その判断をするために独立性の高い第三者機関が必要。」
(ゼヒゼヒインターネット国民投票より引用)
今回各意見を参考にさせて頂いた
ゼヒゼヒインターネット国民投票では、
様々な事柄に対して2択での投票を
行っています。
保護法案についてのその他の意見を
含め、ご興味がある方は覗いて見て
ください^^
何が秘密か?それは秘密です
一見冗談のように聞こえますが、
法案が正式に可決されれば、冗談ではなくなります。
そもそも何が特定秘密に指定されているか
公開されないので、
こんなことことや
こんなことも現実味を帯びてきます。
(クリックで拡大します)
こうなると、もはやひとごとでは済まされません。
安部総理は26日の会見で、秘密保護法案は
国民の安全を守るための法律であることを
強調し、国民の不安や懸念があることは承知
しているとした上で、これらの不安を払拭する
よう努めると述べました。
言ってはみたものの、具体的にどうするのか、
本当に大丈夫なのだろうかと、安部総理の
言葉を鵜呑みにはできない自分がいます。
機密とすべき情報を保護するということの
必要性は理解できるのですが、法案を
見ると、抽象的な規定が多く思えて、
憲法に反するような気がしたり、何より
必要な情報が公開されなくなるというのは
とても怖いことだと不安になります。
この法案によって本当に私達の安全が
守られること、民主主義が否定されない
ことなど、願う事は増えるばかりです。